ピロリ菌と胃の病気
1、ピロリ菌とは
ピロリ菌は胃の粘膜に生息するらせん型の細菌で、1982年に発見されました。通常、胃の強い酸の中では通常の菌は生息できませんが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持っており、その酵素で酸を中和して生息しています。
ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こします。感染が続くと炎症範囲は広がり、慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)となります。
長期に炎症が続くと、胃酸の分泌が低下した「萎縮性胃炎」となり、更に進むと胃粘膜が腸の粘膜のようになります。その後、一部の人では「胃がん」になることが報告されています。
また、「再発性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍」、胃の粘膜にあるリンパ組織に発生する「胃MALTリンパ腫」、血小板が減少して出血しやすくなる「特発性血小板減少性紫斑病」との関連も報告されています。
2、ピロリ菌の除菌について
保険適応で治療の対象は、
胃潰瘍または十二指腸潰瘍の患者さん
胃MALTリンパ腫の患者さん
特発性血小板減少性紫斑病の患者さん
早期胃がんに対する内視鏡的治療後の患者さん
内視鏡検査で胃炎の確定診断がされた患者さん
となります。
上記の患者さんに対して、ピロリ菌の検査を行います。ピロリ菌がいる場合、除菌となります。
除菌には、2種類の抗生物質と1種類の制酸剤の3剤を同時に1日2回、7日間服用します。1回目の除菌で成功率は68~92%と言われています。成功しなかった場合、抗生物質を一つ変更して再度除菌治療を行います。2回目の除菌でほとんどの場合、除菌が成功すると報告されています。
3、除菌後の検査について
除菌の薬を飲み終わってから一定期間経ってから、除菌治療の効果判定の検査を行います。尿素呼気テストという検査で、薬をのむ前後で呼気を採取して調べます。
4、胃がんリスク検査(ABC検診)について
胃がんの危険因子となる、ヘリコバクター・ピロリに感染している場合に血中に認められる「ヘリコバクター・ピロリ抗体」と、胃がんの背景となり得る萎縮性胃炎の具合が反映される「ペプシノゲン検査」を組み合わせた検査になります。
採血で行うこちらの検査はあくまでも胃がんのリスクが高いかどうかを調べる検査で、胃がんそのものを発見する検査ではありません。
自費の検査となり、費用は6,000円(税込み)です。




